街角アート散歩

美術鑑賞と散歩が趣味の一般人がパブリックアートを勝手に語ります。

【池袋】幸せのリング/宮田亮平

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【作品名】幸せのリング

【作者名】宮田亮平

【制作年】2008年

 

池袋駅副都心線ホームと改札をつなぐ広い踊り場に設置されている作品。

 

踊り場という特に用事のない場所にあることでスルーしがちだが、作者の宮田亮平は日本を代表する金属工芸家で実はけっこう大物だったりする。

 

何を隠そう東京駅の待ち合わせスポットの代名詞「銀の鈴」(4代目)を作った人物なのだ。銀の鈴といえば日本で一番有名な待ち合わせ場所といっても過言でもない。パブリックアートとして待ち合わせ場所になるということは、つまりその街のシンボルになるということなので、限られた作品にしか与えられない栄誉なわけだが、さらにそれが東京駅となればカースト制度でいうバラモン的な、ワンピースでいえば四皇並みの権威がある。

 

そんな人が作った作品ということを知るだけでやたら有り難みが感じられるだろう。

 

 

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作品を見ると複数のイルカ達が波間を泳ぎながらリングを作っている。このイルカを使った作品は宮田の代表作であり「シュプリンゲン(Springen)」シリーズと名付けられている。このシリーズも色々なところにパブリック・アートとして展示されており、三越日本橋新館 エンブレム - Google 検索も彼の作品である。

 

今やイルカのアートといえば老いも若きもラッセンをあげる世の中だが、そこですかさず「んーでもやっぱりイルカといえば宮田亮平だよなー」と言えばかなりのアート通ぶることができる。

 

 金属を使って作られているがイルカ達が軽やかに泳ぐ姿が表現されていて、重い素材とのギャップが面白い。

 

 

またこの作品は副都心線が開通したタイミングで作られ、「出会いの場として、人々が集い、幸せの環が広がりゆく」という願いを込めて作られた作品である。

 

しかし設置されたのはホームと改札をつなぐ広い踊り場である。

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特に踊り場に用事はないので残念ながら出会いの場にはなっていない様子だ。これは作品どうのこうのというわけではなく立地的に仕方ないわけだが、日本を代表する出会いの場になっている銀の鈴と比べると、そのコントラストがおかしくもある。

 

 

せっかく広いスペースがあるんだからちょっとした立ち飲みができるスペース「踊りBar」でもつくって、本当に出会いの場にしてしまってはどうだろうか。